【えっ!? 社長じゃなくてもいいの!?】建設業許可申請における「経営業務の管理責任者」の正体とは

    「建設業の許可を取りたいけど、うちの社長は経営経験が浅いから無理かも…」
    「社長は外部から招いた名義だけの存在。実際に経営してるのは俺だ!」

    こんなお悩みをよく耳にします。

    建設業許可の取得には「経営業務の管理責任者」(通称:経管)という、ある意味“社長以上に現場を知っている人”の存在が必要不可欠です。しかし、誤解されがちなのが「経管=代表取締役じゃないとダメ」という思い込み。

    結論から言えば――経管になるのは社長でなくても大丈夫です!

    ただし、「誰でもいい」わけではありません。この記事では、「経営業務の管理責任者って何?」「どんな人がなれるの?」という点を、事例を交えてわかりやすく解説していきます。

    ■ そもそも「経営業務の管理責任者」って何者?

    建設業は安全性と信頼性が非常に重要な業種です。そのため国は、建設業者として活動する企業に対し「きちんと経営を担える人物がいますか?」というチェックを行います。これが、「経営業務の管理責任者」の設置義務です。

    この役割を担う人は、企業の経営業務全体を把握し、管理・判断できる立場にある人でなければなりません。つまり「名ばかり」ではなく、実質的な経営者であることが求められます。

    ■ 経管は代表取締役でなくても OK!

    ここが誤解されやすいポイントです。

    経管は「代表取締役であること」が条件ではなく、以下のようなポジションの人でも OK です。

    • 取締役(常勤で経営業務に従事していた者)
    • 執行役、支店長、本部長など、実質的に経営を統括していた者
    • 個人事業主本人
    • 支配人

    つまり、経営判断をしていた実績があることが重要なのです。

    ■ 【事例 1】専務取締役が経管になったケース

    ある建設会社では、創業者である A 氏が代表取締役として登記されていましたが、実際の経営は、息子で専務取締役の B 氏が担っていました。

    資金繰りや人材採用、元請け業者との折衝など、実質的な「社長業」は B 氏が行っており、会議の議事録や契約書の署名も B 氏名義で残っていました。

    この場合、B 氏は「代表取締役」ではないものの、経営業務の管理責任者として十分な実績があると認められ、無事に許可取得に至りました。

    ポイントは、「経営に携わっていた証拠」がしっかり残っていたことです。

    ■ 【事例 2】部長職の人は経管になれなかった…

    一方で、別の会社 C 社では、実務経験 20 年以上の工事部長 C 氏を経管にしようとしました。しかし、彼は役員ではなく、あくまで従業員扱いのポジション。確かに現場では絶大な信頼を得ていましたが、「経営業務を統括していた」とは言い難く、許可申請では不合格となってしまいました。

    この場合、経営業務の補佐経験として 6 年以上の実績を示せば、代替要件でクリアできる可能性もありますが、それにはかなりの書類と証拠が必要です。

    ■ 経営業務の「経験年数」はどれだけ必要?

    経管になれるためには、以下のいずれかの条件を満たす必要があります。

    • 【1】経営業務の管理責任者としての経験が 5 年以上
      例:取締役、執行役、個人事業主として建設業の経営に関わっていた場合
    • 【2】経営業務の補佐経験が 6 年以上
      例:役員ではないが、営業責任者や経理部長など、経営補佐的な立場で従事していた場合

    これらの経験は、「役職名」だけではなく、実際に何をしていたかで判断されます。

    ■ 経管の証明には何が必要?

    経験を証明するには、次のような書類が必要になります。

    • 履歴事項全部証明書(法人の役員歴を証明)
    • 経理書類、決算報告書、契約書など(業務内容の証明)
    • 議事録や業務日報(経営判断の実績証明)

    つまり、過去の「働きっぷり」を証拠で示す必要があるわけです。

    ■ 「うちは経管がいない!」そんなときは?

    どうしても経管に該当する人材がいない…そんな場合は、次のような選択肢があります。

    1. 経験者を役員に迎え入れる
      建設業界での経営経験がある人を新たに役員として迎え、経管に就任してもらう方法です。
    2. 他社からの出向や業務提携を検討
      経管の要件を満たす人がいる他社と業務提携し、一定期間出向してもらうことで、将来的な許可取得を目指す方法もあります。

    ■ まとめ:経管は「実質的な経営者」であれば社長でなくても OK!

    • 経営業務の管理責任者は代表取締役である必要はない
    • 大事なのは役職名ではなく実際の経営関与の内容
    • 経験年数と証拠書類の準備が鍵
    • 経管がいない場合でも打つ手はある!

    建設業許可の取得は、単なる「手続き」ではなく、経営体制の健全性を示す大切なプロセスです。

    「誰が経管になるべきか?」でお悩みの方は、経験や立場を丁寧に整理するところから始めてみましょう。

    \ あなたの会社の“真のキーマン”は、社長じゃないかもしれない!/

    建設業許可申請でつまずかないためにも、経管選びは慎重に、でも柔軟に考えていきましょう。