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【建設業者の相続対策】許可失効を防ぐ!法人化による事業承継のすすめ
~調布・府中・稲城など多摩地域の建設業者が知っておくべきポイント~
1.「建設業者にとっての相続」は普通の相続と違う
家を建てる職人や設備工事、土木業など、地域に根ざして長く仕事をしてきた建設業者の多くは、家族経営の個人事業主です。
ところが、建設業者の「相続」は、一般の家庭の相続とは大きく異なります。
なぜなら、建設業者には「許可」と「経営基盤」が密接に結びついているからです。
通常の財産分けだけでなく、事業を止めずに引き継ぐことが最大の課題になります。
2.個人事業主のままだと、相続で許可が失効する
建設業許可は、あくまでその個人または法人に与えられたものです。
個人事業主の代表が亡くなった場合、その瞬間に「許可を持つ人」がいなくなり、建設業許可は自動的に失効してしまいます。
この「許可失効」が招く影響は大きく、たとえば次のような問題が起こります。
- 進行中の工事が継続できなくなる
- 元請との契約が解除される
- 銀行融資の条件を満たせなくなる
- 経営事項審査(経審)の点数も引き継げない
つまり、代表者の死によって、事業そのものが止まってしまうのです。
「息子が跡を継ぐから大丈夫」と思われるかもしれませんが、息子さんが同じ会社を引き継いだとしても、新規で許可を取り直す必要があります。
しかも、その際は、改めて「経営業務の管理責任者」「専任技術者」などの要件を満たさねばならず、許可を再取得できるまでに数か月かかることもあります。
3.一方、法人なら「事業承継等の認可」で引き継ぎが可能に
このような問題を解決するため、令和5年(2023 年)4月にスタートしたのが、「建設業許可の事業承継等の認可制度」です。
この制度は、個人から法人、または法人間などで事業を引き継ぐ際に、一定の条件を満たせば、許可を承継できるという仕組みです。
たとえば、
- 法人の代表が亡くなっても、息子が代表取締役になれば許可を引き継げる
- 合併や分割で事業が移る場合も、認可によって許可を維持できる
というように、「許可のリセット」を防ぐことが可能になりました。
ただし、この制度は法人が対象です。
個人事業主が亡くなった場合には使うことができません。
つまり、個人事業のままでは許可失効を防げないのです。
4.法人化することで相続トラブルを防ぐ理由
個人事業主が亡くなると、トラックや重機、倉庫の土地建物、預金など、すべてが「個人の相続財産」になります。
これを相続人が分け合うとなると、次のような問題が起こりやすいのです。
- 機械や車両を誰が引き継ぐかで揉める
- 事務所や倉庫の土地が分けにくく、売却して現金化するしかない
- 相続税評価が高くなり、納税資金が足りなくなる
一方、法人化しておけば、これらの事業用資産は「会社のもの」になります。
代表者個人の財産ではないため、相続財産は会社の「株式」だけです。
株式の評価は、会社の純資産や利益を基に計算されますが、実際の資産単体の時価よりも評価額が圧縮される傾向にあります。
そのため、相続税の負担を軽くできるというメリットが生まれます。
5.株式で承継すれば、遺産分割がスムーズ
個人事業では、事業用の土地・建物・機械などを一つ一つ分けて考える必要があります。
しかし法人にしておけば、相続するのは「会社の株式」だけです。
たとえば、次のように分けることができます。
- 長男(後継者)には会社の株式を集中して相続
- 次男・長女には現金や保険金などを分配
これにより、事業を継ぐ人が経営権を安定して握ることができ、他の相続人との争いを避けやすくなるのです。
「兄が社長で、弟が株を一部持っていて口を出す」といったトラブルも、事前に株式の持ち分を整理しておくことで防止できます。
6.法人化で「事業」と「個人」を切り分ける
法人化のもう一つの大きな利点は、経営と個人の生活を分けられることです。
個人事業主では、事業資金と生活費が一体化してしまいがちですが、法人化すると、会社と個人の資金を明確に分けることができます。
- 会社 → 売上・経費・資産の管理
- 個人 → 給与所得として生活資金を受け取る
こうしておけば、会社が成長しても、代表者個人の相続財産が過剰に増えず、税負担のバランスを保ちながら事業を続けることが可能になります。
7.法人化の際に注意すべき3つのポイント
法人化によって多くのメリットがある一方で、手続きの過程にはいくつかの注意点があります。
(1)不動産の移転には税金がかかる
事務所や倉庫の土地建物を法人に移す場合、登録免許税や不動産取得税が発生します。
また、売買形式で移すときは譲渡所得税も課税対象になります。
(2)設備や車両には消費税が関係
重機やトラックを会社に売却する場合、その取引に消費税がかかることがあります。
一括で移すと税額が大きくなるため、段階的な移転も検討が必要です。
(3)建設業許可の名義変更
法人化の際には、「個人の許可」から「法人の許可」へ切り替える手続きが必要です。
この際、経営業務の管理責任者や専任技術者の要件を満たす必要があり、事前に確認しておくことが重要です。
8.調布・府中・稲城など多摩地域の建設業者に多い悩み
多摩地域は、世代を超えて続く家族経営の建設業者が多く、「親方の代からずっと続けてきたが、法人化していない」というケースが非常に多く見られます。
このような事業者ほど、代表者が高齢化すると次の課題が浮上します。
- 許可の名義をどうするか
- 相続税が払えるか
- 誰が後継ぎになるか
- 事務所の土地をどう分けるか
これらの問題は、相続が発生してからでは間に合いません。
許可が失効してから再申請するまでの間、工事が止まってしまうリスクもあるのです。
9.相続・承継・許可を一体で考えるのが新しい時代の対策
これからの建設業経営では、「相続対策」「事業承継」「建設業許可」の3つをセットで考えることが重要です。
- 許可の継続性 → 法人化+承継認可
- 税負担の軽減 → 株式評価による圧縮
- トラブル防止 → 株式による一元的な承継
こうした対策を事前に整えることで、家族も社員も安心して事業を続けることができます。
10.まとめ:「法人化」は建設業者の最強の相続対策
| 観点 | 個人事業主のまま | 法人化後 |
|---|---|---|
| 建設業許可 | 代表死亡で失効 | 承継認可で継続可 |
| 相続財産 | 機械・土地などすべて個人財産 | 株式のみ相続対象 |
| 相続税 | 高額になりやすい | 評価額が圧縮されやすい |
| 分割トラブル | 起きやすい | 株式で一元承継可 |
| 経営継続 | 死亡でストップ | 会社として継続 |
最後に
調布・府中・稲城などの多摩地域で長く事業を続ける建設業者こそ、「法人化」を通じた事業承継対策が有効です。
許可の維持・税の軽減・家族の安心――そのすべてを同時に守るための第一歩が、法人化による相続対策なのです。









