建設業の種類と区分

    建設業許可の申請にあたっては許可の種類と区分を理解しておく必要があります。中でも「許可業種」と「知事許可と大臣許可の違い」、「一般建設業と特定建設業の違い」については必ず理解しておく必要があります。

    建設業の種類

    建設業許可は、29種類の業種に分けられています。自分が請け負いたい工事の種類に応じて、適切な業種を選択し、その業種の許可を取得する必要があります(1つの業者が複数の業種の許可を取得することも可能です)。業種は、2種類の一式工事(土木工事業・建築工事業)と、27種類の専門工事があります。

    自社がどの業種の許可を取得する必要があるかを正確に判断することは、非常に重要です。業種の判断には専門的な知識が必要となりますので、少しでも迷った場合は、申請先の自治体や専門の行政書士に相談することをお勧めします。これにより、適切な業種の許可を取得し、スムーズに業務を進めることができます。

    略号業種略号業種
    土木工事業ガラス工事業
    建設工事業塗装工事業
    大工工事業防水工事業
    左官工事業内装仕上工事業
    とび・土工工事業機械器具設置工事業
    石工事業熱絶縁工事業
    屋根工事業電気通信工事業
    電気工事業造園工事業
    管工事業さく井工事業
    タイル・れんが・ブロック工事業建具工事業
    銅構造物工事業水道施設工事業
    鉄筋工事業消防施設工事業
    舗装工事業清掃施設工事業
    しゅんせつ工事業解体工事業
    板金工事業


    ※解体工事業は平成28年6月新設

    知事許可と大臣許可の違い

    建設業許可の申請は、申請業者の「営業所」の数と位置によって異なります。具体的には、営業所が1つの都道府県内にしかない場合は、知事許可を申請します。一方、営業所が2つ以上の都道府県にまたがって存在する場合は、大臣許可を申請します。

    知事許可と大臣許可の申請条件や必要な書類は基本的に同じですが、申請先の窓口が異なります。知事許可の場合は都道府県が、大臣許可の場合は国(各エリアの地方整備局)が窓口となります。これらの違いを理解し、自社の状況に合わせて適切な許可を申請しましょう。

    同じ業者が知事許可と大臣許可の両方を申請することはできません。

    例えば・・・

    東京都に営業所があり、他県に営業所がない場合は大臣許可ではなく知事許可となります。

    東京都と千葉県に二つの営業所がある場合は、知事許可ではなく大臣許可となります。

    建設業法第3条

    建設業を営もうとする者は、次に掲げる区分により、この章で定めるところにより、二以上の都道府県の区域内に営業所(本店又は支店若しくは政令で定めるこれに準ずるものをいう。以下同じ。)を設けて営業をしようとする場合にあっては国土交通大臣の、一の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業をしようとする場合にあっては当該営業所の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者は、この限りでない。

    一般建設業と特定建設業

    建設業許可は、「特定建設業許可」という特別な許可が必要となる特定の条件を満たす工事を請け負う場合があります。その特定の条件とは、元請業者として請け負った1件の工事で、4,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)以上の下請け工事を出す場合です。(複数の下請業者と契約する場合、その合計金額が上記の金額を超える場合も含みます)。それ以外の全ての工事については、「一般建設業許可」で請け負うことが可能です。したがって、下請けのみを行う業者は、「一般建設業許可」を持っていれば問題ありません。なお、許可業者の90%以上が「一般建設業許可」を保有しており、「特定建設業許可」を取得するためには、通常より厳しい許可条件が課されます。これらの違いを理解し、自社の状況に合わせて適切な許可を取得しましょう。

    大臣許可は審査期間が長いことに注意が必要になります。大臣許可は申請をしてから、その申請書の審査におよそ120日かかります。知事許可の場合は30日~45日で完了する自治体が多いので、それと比べるとかなり時間がかかります。

    審査期間中はもちろん許可業者という扱いは受けませんので、大臣許可の取得には少なくとも4ヶ月以上の時間がかかることになります。許可取得のスケジュールは余裕をもって立てるようにしましょう。

    営業所 

    「営業所」とは、建設工事の請負や見積もり、入札業務など、工事に関する実務を行っている事務所を指します。この定義は、その事務所で請負う工事が、許可が不要な軽微な工事(500万円未満の工事)であっても適用されます。

    例えば、東京本店で500万円以上の工事を請け負った場合、千葉支店では500万円未満の工事(軽微な工事)しか請け負わないときでも、そこで工事の請負業務を行っている以上、京都の支店も営業所として認識されます。

    したがって、このケースでは、大臣許可が必要となります。これらの点を理解し、自社の状況に合わせて適切な許可を取得しましょう。

    建設業の営業所に当てはまらないケース

    建設業の実務を行わない事務所は、建設業法上の「営業所」には該当しません。具体的な例としては、以下のような事務所が該当します。

    • 経理や総務しか行わない事務所(登記上の本店であっても、建設業法上は営業所には該当しません)
    • 単なる現場事務所や連絡所

    例えば、東京に建設業務を行う事務所があり、千葉には総務部と経理部だけが存在する支店がある場合、千葉の支店は建設業法上の営業所には該当しません。したがって、この場合は知事許可を取得する必要があります。

    建設業法上の営業所の定義を正しく理解し、複数の都道府県に営業所が存在する場合は大臣許可、同一都道府県内にしか存在しない場合は知事許可を取得するよう、適切な許可を取得できるようにしましょう。

    まとめ

    「大臣許可」とは、国土交通大臣から得られる建設業許可のことを指します。営業所が2つ以上の都道府県に存在する業者が対象となります。

    一方、営業所が同一の都道府県内にしか存在しない業者は、大臣許可を受けることはできず、代わりに「知事許可」を受けることになります。また、大臣許可の審査期間は約120日と長く、申請してすぐに許可が得られるわけではありません。

    建設業許可を持つ業者の90%以上が知事許可を受けているため、建設業許可の取得を考えている方は、知事許可の定義をしっかりと理解した上で行政書士さんに相談しましょう。