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建設業許可の名義貸しとは?同一代表者・複数会社・作業員兼務の実務解説
建設業を営むうえで避けて通れないのが建設業許可のルールです。その中でも特に注意が必要なのが「名義貸し」。聞き慣れない言葉ですが、実務では意外と起こりやすい問題です。この記事では、名義貸しとは何か、なぜ違法なのか、さらに同一人物が複数会社を持つ場合や作業員の兼務はどうなるかについて、初心者でも分かりやすく解説します。
1. 名義貸しとは?小学生でもわかる例で解説
建設業の名義貸しとは、ざっくり言うと許可を持っている会社や人の名前だけを借りて、実際の工事は別の会社や人が行うことです。
イメージ例
- A社:建設業許可あり
- B社:許可なし
- 代表者:同じ人
B社は建設業の許可を持っていません。でも「工事を受注したい!」
そこで、代表者Cさんが「A社の名前で契約して!」とB社の仕事をA社名義で行うと、これが名義貸しになります。
実際に工事をやっているのはB社なのに、契約書や見積書はA社の名前…これが法律違反であり、建設業法上問題となる行為です。
2. なぜ名義貸しは問題なのか?
名義貸しは単なる「ルール違反」ではなく、実務に大きな影響があります。
- 法律違反
建設業法で禁止されており、刑事罰や行政処分の対象になります。 - 責任の所在があいまい
工事で不具合や事故が起こったとき、誰が責任を取るのか不明確になります。 - 公正な競争を妨げる
許可を持たない会社が許可を借りて工事を取ると、正規に許可を持つ会社が不利になります。
罰則
- 刑事罰:6か月以下の懲役または100万円以下の罰金
- 行政処分:建設業許可の取り消しや業務停止
ポイント
「500万円以下なら名義貸しにならない」という誤解がありますが、許可が必要な工事かどうかが基準であり、金額の大小は関係ありません。
3. 同一人物が複数会社を持つ場合の名義貸し
最近の相談で多いのが「同じ代表者が複数の法人を持つ場合」です。例えば:
- A社:建設業許可あり
- B社:許可なし
- 代表者:同じCさん
パターン1:B社の工事をA社の許可で請け負う
- B社が工事をやりたい
- 契約書・見積書はA社名義
- 実際の工事はB社
→ 明らかに名義貸し
パターン2:B社が500万円以下の軽微な工事をする
- 建設業法上、軽微な工事(建築一式工事なら1500万円未満、その他の工事なら500万円未満)は許可不要
- この場合、B社が自社で工事を行えば名義貸しにはならない
- ただし、A社の従業員や資材を借りて行うと名義貸しのリスクあり
パターン3:同一人物が代表でも注意
「代表者が同じだから問題ない」は大間違い。
実態として工事を行う会社と許可を持つ会社が異なる場合は名義貸し。
許可取り消しのリスクがある
ポイント図解
A社(許可あり) ← 契約書・見積書はA社名義
↑
│ 名義貸し
│
B社(許可なし) ← 実際に工事をする
4. 作業員の兼務はOK?
では、経営者や技術者ではなく、一般の作業員はどうでしょうか?
- 結論:作業員レベルであれば、A社とB社を兼務することは可能です。
- 条件:
- 契約書や見積書で名義貸しにならないこと
- 労働時間や社会保険の加入を正しく管理すること
注意
- 経営管理責任者・専任技術者は兼務禁止
- 作業員は兼務可能だが、あくまで契約書名義と許可の関係に注意
5. まとめ:名義貸しを避けるための実務チェックリスト
- 許可のある会社名で契約しているか?
- 実際に工事を行う会社は契約書と一致しているか?
- 経営管理責任者・専任技術者は兼務していないか?
- 軽微な工事か、許可が必要かを確認する
- 作業員の兼務は契約書・労務管理に問題がないか確認する
6. 結論
建設業許可の名義貸しは「法律違反」であり、刑事罰や行政処分のリスクがあります。
- 複数会社を持つ場合でも、実際の工事と契約の名義が異なるとアウト
- 作業員の兼務は原則OKですが、契約や労務管理に注意
建設業許可は形だけでなく、実態が重要です。
安全に事業を行い、許可リスクを回避するためには、事前に行政書士や専門家に相談するのが安心です。
この記事を読めば、建設業者が陥りやすい「名義貸し」の落とし穴と、複数会社・兼務社員のルールをしっかり理解でき、実務での失敗を防げます。









