無理やり書かされた遺言書は有効になるのか?

    はじめに

    大切な財産である遺産の分配方法を決める遺言書は、被相続人の意思を尊重する重要なものです。しかし、近年、「無理やり書かされた遺言書を書かされた」という相談が増えています。

    無理やり書かされた遺言書の効力は否定される可能性が高い

    遺言書は、被相続人本人の自由な意思に基づいて作成する必要があります。脅迫や暴行、詐欺などによって、本人の意思に反して書かされた遺言書は、民法95条、96条に基づき効力が否定されることになります。

    効力が否定されるケース例

    • 長男が、認知症を患い意思能力が十分でない父親に、自宅を譲るように遺言書を書かせた

    • 長女が、借金の返済を迫るために、母親に全財産を譲るように遺言書を書かせた

    • 悪徳業者が、高齢者をターゲットに、高額な商品を購入させる代わりに、遺言書を作成させた

    遺言書の内容が不自然な場合も

    上記のような脅迫や暴力がなくても、遺言書の内容が被相続人の性格や過去の言動と明らかに異なる場合も、無理やり書かされた可能性が疑われます。

    遺言書の効力が否定と判断される場合

    裁判所では、以下の点を総合的に判断して、遺言書が有効かどうかを決定します。

    • 被相続人の意思能力

    • 遺言書作成時の状況

    • 遺言書の内容

    • 証人の有無

    もし、自分が無理やり遺言書を書かされたと思われる場合は

    心当たりがある場合は、すぐに専門家に相談することが重要です。専門家は、証拠収集や裁判手続きなど、遺言書が無効であることを証明するためのサポートを行ってくれます。

    事例

    事例1:認知症の父親に無理やり自宅を譲らせた遺言書

    Aさんは、認知症を患い、意思能力が十分でない父親に、自宅を譲るように遺言書を書かせました。しかし、Aさんの兄が遺言書の存在を知り、専門家に相談したところ、父親は認知症により意思能力が十分でない状態だったことがわかり、遺言書は無効と判断されました。

    事例2:借金の返済のために母親に全財産を譲らせた遺言書

    Bさんは、借金の返済を迫るために、母親に全財産を譲るように遺言書を書かせました。しかし、母親の親族が遺言書の存在を知り、専門家に相談したところ、Bさんは母親に対して長年暴言や暴行を行っており、遺言書は脅迫によって書かされたものであることが認められました。

    まとめ

    遺言書は、被相続人の意思を尊重することが重要です。もし、自分が無理やり遺言書を書かされたと思われる場合は、すぐに専門家に相談することが大切です。