相続の銀行解約手続きは「銀行あるある」!?〜似て非なる金融機関ごとのクセ〜

    身内が亡くなったあと、必ずと言っていいほど直面するのが「銀行口座の解約手続き」。

    「どこか一つ手続きすれば、あとは同じ感じでいけるだろう」と思っていたら、甘かった……。

    実は、銀行ごとに手続きのクセが違うのです。書類の名前も違えば、提出物も微妙に違う。しかも、ネットではなかなか分からない「リアル現場あるある」も。この記事では、そんな銀行相続手続きの微妙な違いと、その対応法について、分かりやすく&ちょっと面白くご紹介します。

    1. 銀行口座は「死亡」で即ロックされる

    まず大前提。名義人が亡くなったことが銀行に知られると、口座は即凍結。ATM からお金を下ろすことも、振込もできなくなります。

    ここで「まだお葬式代も払ってないのに!」「公共料金の引き落としどうしよう!」と困る人も多いのが現実。

    とくに、年金の入金口座が止まると、「未支給年金の返還」問題にも発展します。

    2. 手続きの流れは「ほぼ同じ」でも「完全一致」ではない

    どの銀行も、基本の流れは以下の通りです:

    1. 相続発生の届け出
    2. 必要書類の提出(戸籍謄本、遺言書、遺産分割協議書など)
    3. 相続人の確認
    4. 残高証明書の取得(希望があれば)
    5. 払戻請求書類の提出
    6. 相続人の口座へ振り込み

    でも、問題はこの“必要書類”と“提出方法”が銀行ごとに違うこと。

    3. 銀行ごとの「クセの強い」違い

    ● みずほ銀行:とにかく書類が細かい!そして郵送不可!

    「みずほさん、ちょっと慎重すぎませんか…?」と思うくらい、書類の要求が細かいです。

    例えば、相続人全員の印鑑証明書が必要なのは当たり前。遺産分割協議書の“添付書類の順番”まで指定されたりします。

    しかも、手続きは原則「店舗で対面」。郵送で済ませたい人には不向き。時間がない人は覚悟を。

    ● 三井住友銀行:郵送で OK、でも「相続関係届出書」がクセモノ

    三井住友銀行は、手続きを郵送でできるのがメリット。

    ただし、「相続関係届出書」という独自の書類を用意する必要があります。これはフォーマットが三井住友独自で、“遺産分割協議書と併用できない”という厄介な仕様。

    つまり、協議書があっても、銀行指定のこの届出書を別で書かないといけません。

    「なぜそれが必要なの?」と思っても、そういうルールです…。

    ● 三菱 UFJ 銀行:ネットでも一部手続き可能!でも本人確認は慎重

    三菱 UFJ 銀行は最近、ネットで相続手続きをスタートできる「相続手続きナビ」というサービスを導入。これがかなり便利。

    事前にオンラインで質問に答えると、必要な書類と流れを案内してくれるという神対応です。

    ただし、最終的にはやっぱり紙と印鑑と郵送が必要になります。そして、印鑑証明の期限(発行後 3 か月以内)にやたらうるさいです。

    ● ゆうちょ銀行:提出書類が「フルセット」

    ゆうちょは、公的機関らしく手続きが非常に丁寧、いや慎重です。

    戸籍は“出生から死亡までのつながりをすべて”提出しなければならず、養子縁組や離婚・再婚があると戸籍の枚数が 10 枚以上になることも。

    さらに、遺産分割協議書の署名欄には「自署・押印」がマスト。

    間違って「パソコンで入力・印刷」してしまうとやり直しになります。印刷派の人、ご注意を。

    ● 地方銀行・信用金庫:ケースバイケース!電話して聞くのが一番

    地方銀行や信用金庫は、マニュアルがあっても“支店ごとに運用が違う”ことも多々。

    ある信金では「分割協議書があるなら印鑑証明いりません」と言われたのに、別の信金では「全員分の印鑑証明を出してください」と言われることも。

    つまり、一番確実なのは「その支店に電話して聞く」こと。下手にネットで調べても「うちの支店ではこうしてます」と言われてしまうこともあります。

    4. “亡くなる前”にできる対策もある

    「こんな面倒な手続きを、親が亡くなった後にやるなんて…」という方、事前にできることもあります。

    • 生前に「遺言書」を作成しておく(特に公正証書遺言が強力)
    • 金融資産の一部を共有名義や定期解約の手続きにしておく
    • 信頼できる専門家(司法書士・行政書士・税理士)に相談しておく

    また、最近は「預貯金の仮払い制度」も使えるようになりました。一定額(150 万円まで)であれば、遺産分割協議前でも相続人が引き出せる制度です。ただし、これも銀行によって申請方法が異なります。

    5. 最後に:相続手続きは「書類との闘い」

    どの銀行にも共通して言えるのは、「とにかく書類が多い」ということ。

    同じ内容を何度も書くこともありますし、原本とコピーの区別、印鑑の種類(実印か認印か)など、気を抜くとすぐ差し戻されます。

    ちょっとした記入ミスで再提出になると、相続人間の空気がピリつくことも…。だからこそ、面倒なときは専門家に丸ごと頼むのも一つの選択肢です。

    まとめ:銀行相続手続きの「クセ」と上手に付き合おう

    • 基本の流れは似ているけれど、銀行ごとに細かな違いあり
    • 郵送でできるか、対面が必要かを最初に確認
    • 独自書式の有無や、印鑑証明の扱いもチェック
    • 疑問点があれば、遠慮せず銀行窓口に電話で聞くのが早道!

    人生の最後を締めくくる「お金の手続き」だからこそ、スムーズに終わらせたいもの。ちょっと手間だけど、ひとつひとつクリアしていけば、きっと“次の相続”に備えるヒントにもなりますよ。