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認知症と遺言書作成の問題点について
高齢の親が認知症の疑いがある場合、遺言書を作成するべきかどうか悩む方は多いでしょう。特に、医師の診断を受ける前に遺言書を作成させることの有効性や、意思能力がない状態での遺言書作成が許されるのかについて、正しく理解しておくことが重要です。
本記事では、認知症と遺言書作成の関係について詳しく解説します。
1. 遺言書の有効性と意思能力の重要性
遺言書を作成する際に最も重要なのが「意思能力」です。意思能力とは、遺言内容を理解し、自ら判断して意思表示ができる能力のことを指します。
民法第 963 条では、遺言者は遺言をする時において、その能力を有しなければならない と定められています。そのため、意思能力がない状態で作成された遺言は無効 となります。
遺言書の種類と有効性
遺言書には主に次の 3 種類があります。
1. 自筆証書遺言
• 自分で全文を手書きし、日付・署名・押印をするもの。
• 作成時の状況が第三者に証明されにくいため、意思能力をめぐる争いが生じやすい。
2. 公正証書遺言
• 公証人が作成し、公証役場で保管するもの。
• 公証人が意思能力を確認するため、信頼性が高い。
3. 秘密証書遺言
• 内容を秘密にしたまま公証役場で認証を受けるもの。
• 証明力は公正証書遺言より劣るが、本人の意思が尊重される。
意思能力が微妙な場合、公正証書遺言を選択することで、後のトラブルを防ぐことができます。
2. 医師の診断前に遺言書を作成しても有効か?
医師の診断を受ける前に遺言書を作成した場合でも、本人に意思能力があれば遺言は有効 です。しかし、認知症の疑いがある場合、後々の相続人間の争いを避けるために、次のような対応を取ることをおすすめします。
医師の意見を得る
可能であれば、かかりつけ医に相談し、簡単な診断を受けて「意思能力がある」との診断書をもらうことが望ましいです。これにより、遺言の有効性を証明する証拠となります。
ビデオ録画や第三者の立ち会い
自筆証書遺言を作成する場合、本人が遺言内容を理解し、自ら意思決定していることをビデオに記録することで、後の証拠として活用できます。また、信頼できる第三者(弁護士や行政書士など)に立ち会ってもらうのも有効です。
公正証書遺言の利用
公証人が遺言の作成に関与し、本人の意思能力を確認するため、意思能力に不安がある場合でも安心です。
3. 意思能力がない状態での遺言書作成の問題点
認知症が進行し、本人が遺言の内容を理解できない状態で遺言書を作成させることは、法律的にも倫理的にも問題があります。
法律的なリスク
意思能力がない状態で作成された遺言は、無効となるだけでなく、相続人が争った場合、裁判で無効が確認される可能性が高くなります。結果として、家族間の対立を深める要因となります。
倫理的な問題
本人の意思を尊重せずに無理に遺言を作成させることは、本人の尊厳を損なう行為 です。相続人の公平性や信頼関係にも悪影響を及ぼすため、慎重な対応が必要です。
4. 認知症が疑われる場合の適切な対応
認知症の疑いがある場合、以下のような手順を踏むことで、遺言の有効性を確保し、後のトラブルを回避することができます。
1. 医師の診断を受ける
まず、専門医による診断を受け、認知症の進行度合いや意思能力の有無を確認します。
2. 公正証書遺言の作成
医師の診断結果に基づき、公証人と相談のうえ、適切な方法で遺言を作成します。
3. 成年後見制度の活用
もし意思能力が不十分と診断された場合、家庭裁判所に成年後見人を選任してもらい、法的に適切な財産管理を行います。
4. 民事信託(家族信託)の活用
財産管理や遺産分割の自由度を高めるために、家族信託を活用することで、認知症発症後も財産の円滑な管理が可能となります。
• 信頼できる家族を受託者にし、希望に沿った資産運用ができる点がメリットです。
5. まとめ
認知症の疑いがある場合、遺言書の作成は慎重に進める必要があります。意思能力があるうちに 公正証書遺言を作成 し、 医師の診断や第三者の立ち会いを活用 することで、遺言の有効性を確保しやすくなります。加えて、民事信託(家族信託)を活用することで、より柔軟な財産管理が可能となります。意思能力が不十分な状態で遺言書を作成することは、法的な
無効リスクが高く、家族間のトラブルを招く原因となるため、避けるべきです。
遺言に関する不安や疑問がある場合は、行政書士や弁護士などの専門家に相談し、適切な手続きを進めることをおすすめします。
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