042-318-0450
受付9:00~18:00 日曜祝日定休
わかりやすく解説!数次相続控除とは? 賢く相続税を軽減しよう!
はじめに
近年、高齢化社会の進展により、相続が発生する頻度が高まっています。短期間のうちに複数回の相続が発生することを「数次相続」と呼び、相続税対策が重要になります。そこで今回は、数次相続における節税制度である「数次相続控除」について、わかりやすく解説します。
数次相続控除とは?
数次相続控除とは、10年以内に2回以上の相続が発生した場合に、相続税を軽減する制度です。短期間に同じ財産に対して相続税が課税されることを防ぎ、相続人の負担を軽くする目的があります。
具体的な適用条件は以下の通りです。
• 被相続人が、相続開始前10年以内に相続等により取得した財産について、相続税が課税されていたこと
• 今回の相続の被相続人が、前回の相続で相続税を課税された人から財産を取得していること
上記2つの条件を満たす場合、前回の相続で課税された相続税額のうち、一定の割合を今回の相続税額から控除することができます。
数次相続控除の必要性
数次相続控除がなければ、短期間に同じ財産に対して相続税が二重に課税されることになり、相続人の負担が重くなります。例えば、両親から相続した自宅を、10年後に亡くなった配偶者が相続した場合、両親から相続した自宅の価値分の相続税が再び課税される可能性があります。数次相続控除を適用することで、このような二重課税を軽減し、相続人の負担を軽くすることができます。
数次相続控除の控除額
数次相続控除の控除額は、前回の相続で課税された相続税額を、1年あたり10%ずつ逓減した金額です。例えば、前回の相続で課税された相続税額が1000万円だった場合、1年後の相続では900万円、2年後の相続では800万円、・・・と、年々10%ずつ控除額が減っていきます。
数次相続控除の注意点
数次相続控除は以下の点に注意する必要があります。
• 同時死亡には適用されない
• 相続税申告が必要
• 未分割でも適用できる
同時死亡とは、複数の相続人が同時に亡くなることを指します。数次相続控除は、相続開始時期が異なる場合にのみ適用されるため、同時死亡には適用されません。
また、数次相続控除を受けるためには、今回の相続において相続税申告を行う必要があります。たとえ今回の相続で課税される相続税額が0円であっても、申告を行わないと数次相続控除を受けることはできません。さらに、相続財産が未分割であっても数次相続控除は適用されます。ただし、分割方法によっては控除額が減る場合があるので、注意が必要です。
数次相続控除と分割方法の関係:控除額が減るケースをわかりやすく解説
数次相続控除は、短期間に同じ財産に対して相続税が課税されることを防ぐ、非常に便利な制度です。しかし、相続財産の分割方法によっては、本来受けられるはずだった控除額が減ってしまう場合があります。ここでは、数次相続控除と分割方法の関係について、具体的なケースを交えながらわかりやすく解説します。
1. 相続財産を「現価」で分割する場合
数次相続控除の控除額は、前回の相続で取得した財産の価額に基づいて計算されます。そのため、相続財産を「現価」で分割した場合、分割時点での財産価値が低いと、控除額も低くなります。
例:
両親から相続した自宅を、10年後に亡くなった配偶者が相続する場合を考えます。
• 相続時の自宅の評価額:1000万円
• 10年後の自宅の評価額:800万円
この場合、自宅を現価で分割すると、配偶者が取得する自宅の価額は800万円となります。そのため、数次相続控除の控除額も、800万円分の相続税額に基づいて計算されます。一方、自宅をそのままの状態で相続した場合、配偶者が取得する自宅の価額は1000万円となります。そのため、数次相続控除の控除額も、1000万円分の相続税額に基づいて計算されます。このように、分割方法によっては、数百万も控除額が減ってしまう可能性があります。
2. 相続財産を「実物分割」する場合
相続財産を「実物分割」する場合、分割時点での財産価値は関係ありません。そのため、数次相続控除の控除額も、前回の相続で取得した財産の価額に基づいて計算されます。
例:
上記と同じ自宅を、実物分割で配偶者に相続する場合を考えます。
• 相続時の自宅の評価額:1000万円
この場合、自宅を現物分割で配偶者に相続しても、配偶者が取得する自宅の価額は1000万円となります。そのため、数次相続控除の控除額も、1000万円分の相続税額に基づいて計算されます。つまり、実物分割であれば、分割方法による控除額の減額は心配ありません。数次相続控除を受けるためには、分割方法を工夫することが重要です。
• 現価分割の場合は、分割時期によって控除額が大きく変動する可能性があります。
• 実物分割であれば、分割時期による控除額の減額は心配ありません。
まとめ
数次相続控除は、数次相続が発生した場合に、相続税を軽減する有効な制度です。被相続人や相続財産の状況によって、適用条件や控除額が異なるため、詳細は行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。
記事のポイント
• 数次相続控除は、10年以内に2回以上の相続が発生した場合に適用される制度
• 今回の相続税額から、前回の相続税額を一定割合控除する
• 適用には条件があるため、事前に確認が必要
• 未分割でも適用できるが、分割方法によっては控除額が減る場合もある
補足情報
数次相続控除以外にも、相続税を軽減する制度はいくつかあります。詳細は、国税庁のホームページ等でご確認ください。