建設業許可が取れない理由ベスト3

2024年10月25日

はじめに

建設業に携わるには、国や地方自治体から「建設業許可」を取得する必要があります。しかし、この許可を取得するのは簡単ではなく、多くの事業者が苦労しています。許可が取れない理由はさまざまですが、その中でも特に多い3つの理由を紹介し、それぞれについて詳細に解説していきます。

1. 経営業務の管理責任者がいない

建設業許可を取得するためには、一定の期間以上にわたり経営に携わってきた「経営業務の管理責任者」が必要です。これは、建設業に関する経営上のリスクやトラブルに対して、適切に対処できる能力を持っていることを証明するための要件です。

理由の詳細

多くの事業者がこの要件でつまずくのは、必要な経験年数を満たすことが難しいためです。具体的には、一般建設業許可の場合、原則として5年以上の経営業務の経験が求められます。これには、法人の役員や個人事業主として建設業を営んできた実績が必要です。

例:　新しく建設業を始めようとしている個人や、これまで建設業以外の分野で事業を行ってきた法人が、建設業許可を申請しようとすると、経験年数の要件を満たせない場合が多いです。特に中小企業やスタートアップでは、経営者自身が建設業の経験を持っていないことが多く、代わりに外部から適任者を雇うことも難しい場合があります。

解決策

この問題を解決するためには、まず「経営業務の管理責任者」に該当する人材を確保することが必要です。もし自社内に適任者がいない場合、外部から経験豊富な人材を採用することが一つの方法です。また、最近では「補助者制度」も導入されており、必要な年数を満たすまでの間、他の許可業者で経験を積むことも可能です。

2. 財産的基礎・金銭的信用の不足

建設業許可を取得するためには、事業を遂行するために十分な財産的基礎や金銭的信用があることを証明しなければなりません。これは、工事の受注や取引先への支払いなどにおいて、経営が安定していることを示すための要件です。

理由の詳細

具体的には、一般建設業許可の場合、自己資本が500万円以上、または500万円以上の資産を保有していることを証明する必要があります。これには、預金通帳の残高証明や、直近の決算書を提出することで証明します。

例:新規に設立された会社や、設立して間もないスタートアップでは、自己資本や預金残高が不足していることが多く、許可申請が通らないケースが見られます。また、個人事業主の場合、日々の運転資金の管理が不十分なために、必要な額を証明できないことも少なくありません。

解決策

この問題を解決するためには、まずは500万円以上の自己資本や資産を準備することが必要です。特に、預金通帳に500万円以上の残高があることを証明できれば、それが最も確実な方法です。預貯金残高が不足する場合、金融機関発行の融資可能証明書で証明する方法もあります。また、決算書を整えることも重要です。決算書の内容が不十分な場合、税理士や会計士に相談し、適切な形で財務内容を整理することをおすすめします。

3. 専任技術者の不在

建設業許可を取得するためには、一定の技術的能力を持つ「専任技術者」が在籍していることが必要です。専任技術者は、許可を取得しようとする工事の種類に応じた資格や実務経験を有していなければなりません。

理由の詳細

一般建設業許可の場合、専任技術者として認められるためには、次のいずれかの条件を満たす必要があります。

建設業法で定められた国家資格を保有していること（例: 1級建築士、2級土木施工管理技士など）。
10年以上の実務経験を有していること。
指定学科を卒業し、かつ、一定の実務経験を有していること。

多くの事業者が、この要件を満たす技術者を確保できないことが、許可申請の大きな障害となります。

例:小規模な工務店や、新規事業として建設業に参入しようとしている企業では、専任技術者として認められる資格を持った従業員がいないことが多いです。また、資格を取得していても、実務経験が不足しているために要件を満たせないケースもあります。

解決策

この問題を解決するためには、まずは資格を持った専任技術者を確保することが重要です。もし自社内に適任者がいない場合、外部から採用することも検討する必要があります。また、従業員が資格を取得するための研修や試験のサポートを行うことも有効です。さらに、10年以上の実務経験を積むためには、他の許可業者での経験を積むことも考えられます。