調布市、府中市、稲城市の社長様へ。事業承継と銀行の関係――相続後に待ち受ける変化とは?

    事業承継は単なる経営者の交代ではなく、会社の資金繰りや銀行との関係にも大きな影響を与えます。特に、相続による承継の場合、銀行が取引条件を見直すケースが多く、後継者にとって予想外の問題が発生することもあります。本記事では、事業承継における銀行との関係の変化と、その対策についてわかりやすく解説します。

    1. 銀行との関係が変わる理由

    銀行は、企業の経営者と密接な関係を築きながら融資を行っています。そのため、経営者が亡くなると、「この会社は今後も安定して経営できるのか?」という疑問が生じます。特に以下の点が見直される可能性があります。

    • 代表者の個人保証の有無
    • 会社の財務状況の変化
    • 後継者の経営能力や経験
    • 事業の継続性

    これらの要素を銀行が再評価するため、場合によっては融資条件が変更されたり、新たな保証や担保を求められたりすることがあります。

    2. 代表者変更による融資契約の見直し

    経営者が亡くなった場合、多くの会社では代表者が変更されます。この際、銀行との融資契約も再検討されることが一般的です。

    例えば…

    田中商事の社長・田中一郎さんが急逝し、息子の田中二郎さんが後を継ぐことになりました。
    田中商事は銀行から 5,000 万円の融資を受けており、田中一郎さんが個人保証を提供していました。しかし、銀行は新社長となる田中二郎さんの経営経験が不足していると判断し、新たに個人保証を求めてきました。

    このように、承継後の経営者が信用を得るまでの間、銀行はリスク回避のために厳しい条件を課すことがあります。

    3. 信用格付けの再評価

    企業の信用格付け(銀行が企業の信用力を判断する指標)は、経営者の変更により変わることがあります。特に、新しい代表者が金融機関にとって未知の存在である場合、

    • 金利の引き上げ
    • 融資枠の縮小
    • 追加の担保や保証人の要求

    といった影響を受ける可能性があります。

    例:信用格付けの変化による影響
    A 社は、創業者が長年銀行との良好な関係を築き、低金利で融資を受けていました。しかし、相続により後継者が社長になった途端、銀行はリスクを考慮し、融資金利を 0.5%引き上げました。これにより年間の返済額が大きく増え、資金繰りが厳しくなってしまいました。

    4. 預金口座の凍結と資金繰りへの影響

    経営者個人の銀行口座が相続手続きの対象となり、凍結されることはよく知られていますが、会社の口座であっても影響を受けることがあります。

    例えば、前社長が個人の口座から会社の運転資金を補填していた場合、口座凍結により突然資金繰りが悪化する可能性があります。従業員の給与や仕入れの支払いに支障をきたす事態にならないよう、事前に後継者の口座へ資金を移しておくことが重要です。

    5. 銀行との関係を円滑にするための対策

    事業承継後も銀行との良好な関係を維持するためには、以下のような対策を講じることが効果的です。

    (1) 事前の銀行との相談

    事業承継を予定している場合、事前に銀行へ相談し、融資や取引条件についての確認を行うことが重要です。特に、後継者がスムーズに会社の代表として認められるよう、銀行担当者との関係を築いておくことが望ましいです。

    (2) 経営者保証ガイドラインの活用

    日本では「経営者保証ガイドライン」に基づき、一定の条件を満たせば、経営者の個人保証を解除できる制度があります。後継者が新たな保証を求められないよう、銀行と交渉することが可能です。

    (3) 事業計画の作成と提出

    後継者が銀行に対して信頼を得るためには、明確な事業計画を作成し、会社の成長戦略を示すことが有効です。

    • 会社のビジョン
    • 財務状況の改善策
    • 収益の見通し

    などを盛り込んだ計画を提出することで、銀行側も安心して取引を続けられる可能性が高まります。

    6. まとめ

    事業承継において、銀行との関係が変わることは避けられません。しかし、事前準備をしっかり行い、銀行と信頼関係を築くことで、スムーズな承継が可能となります。

    • 代表者変更により融資契約が見直される
    • 信用格付けが変わることで融資条件が変化する
    • 預金口座の凍結が資金繰りに影響を与える
    • 事前の銀行相談や事業計画の提出が重要

    これらのポイントを押さえ、万全な対策を講じることで、事業承継後も安定した経営を続けることができるでしょう。


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