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相続で使う「固定資産評価証明書」とは?
~不動産相続のカギを握る、知られざる主役~
「お父さんの家をどうやって分けようか?」
ある日、そんな話し合いが始まったら、あなたは何を手にしますか?
通帳? 遺言書? 土地の権利証?
もちろんそれも大事。でも、不動産相続の場面で“隠れた主役”となるのが、「固定資産評価証明書」なんです。
「えっ? 固定資産評価証明書? 固定資産税と関係ありそうだけど、相続で使うの?」
はい、使います。そして、めちゃくちゃ重要な書類なんです。
固定資産評価証明書ってそもそも何?
簡単に言えば、その土地や建物にどれくらいの価値があるのか、役所が評価した金額を証明する書類です。
毎年1月1日時点で、市区町村が固定資産税を課すために出している「評価額」が記載されています。
だから、「固定資産税の金額のもとになる価値」と思ってもらえればOK。
これを証明書という形にしたものが、「固定資産評価証明書」なんですね。
でも、相続のときに、なぜこれが必要になるのか。
相続の三大シーンで大活躍!
実はこの証明書、相続の主要な3つのシーンで出番があります。
① 相続税の申告に使う!
不動産の評価額は、相続財産の一部になります。
相続税がかかるかどうか、いくらかかるかを判断するには、すべての財産を「評価」しなければいけません。
このとき、土地や建物はどうやって評価するか。
そこで登場するのが、「固定資産評価証明書」!
国税庁のルールでは、「固定資産評価額 × 一定の倍率」で不動産を評価する「倍率方式」というやり方があり、そのベースになるのがこの証明書の金額です。
つまり、相続税を計算するための“基準金額”になるんですね。
② 遺産分割協議のための参考資料に!
例えば、こんな会話、ありそうじゃないですか?
Aさん「父の土地、兄さんにあげるよ。私は預金でいいや。」
Bさん「え、でも土地の方が高いんじゃ?」
Aさん「じゃあ、どっちが高いか見てみよう。」
…というわけで、土地と預金の「価値」を比べる必要が出てきます。
預金は金額がハッキリしてますが、不動産はそうはいかない。
売ってみないと本当の価値(時価)は分からないけれど、少なくとも評価の目安がないと話がまとまりません。
そこで、「固定資産評価証明書」が役立ちます。
公平に分けるための“物差し”として、みんなで同じ数字を見ながら話し合えるのです。
③ 不動産の名義変更(登記)にも必要!
相続が終わったら、不動産の名義を被相続人から相続人へ移す「相続登記」が必要です。
このとき、法務局で「登録免許税」という税金を納めるのですが、その金額は固定資産評価額を基に決まります。
つまり、登記にもこの証明書が必要というわけです。
これがないと、登記申請ができません!
どこでどうやって手に入れるの?
取得先は、不動産がある市区町村の役所(資産税課など)です。
例えば、被相続人が東京都世田谷区に土地を持っていたなら、世田谷区役所で発行してもらう必要があります。
相続人本人であれば、身分証明書と相続関係を証明する書類(戸籍など)を持っていけばOKです。
代理人でも取得できる?
はい、可能です。ただしその場合は、相続人からの委任状が必要です。
たとえば、行政書士や司法書士などの専門家が代理で取得するケースもよくあります。
注意点! 時価とは違うって知ってた?
ここでひとつ、重要な落とし穴があります。
この「固定資産評価額」は、実際の売買価格(時価)とは違います。
通常、時価の70%前後とされることが多く、実勢価格より安い傾向があります。
たとえば、同じ土地でも…
- 実際に売れる価格 → 5,000万円
- 固定資産評価額 → 3,500万円
といった具合に差が出ます。
相続税の申告では、「路線価」や「倍率方式」など、正確な評価方法が必要ですが、それでも最初の足がかりになるのがこの証明書。
つまり、「目安を知るための第一歩」としては非常に有用です。
まとめ:地味だけど超重要、それが固定資産評価証明書!
相続の現場では、「お金」「不動産」「人間関係」という三大難題が登場します。
その中で、特に不動産の価値をどう見るかは、トラブルの火種にもなりかねません。
そんなとき、「固定資産評価証明書」は、
- 相続税の申告に使える
- 分割協議の基準になる
- 登記のために必須
という、三拍子そろった万能選手なのです。
普段はあまり意識しない書類ですが、相続が起きたときには欠かせない存在。
相続人になったその日から、真っ先に手に入れておきたい一枚です。
「こんな書類、知らなかった!」という方も、今後相続の場面に立ち会うことがあれば、ぜひこの「固定資産評価証明書」の存在を思い出してください。
地味だけど頼れる、相続手続きの“縁の下の力持ち”です。