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【知らなきゃ違法⁉】“解体工事業の登録”が必要な本当の理由と落とし穴
「うちは建設業許可があるから大丈夫でしょ?」
「小規模な解体なら関係ないよね?」
そんなあなた、もしかしたら違法工事をしているかもしれません。
2016年(平成28年)6月1日からスタートした「解体工事業の登録制度」。
これは建設業の許可とは別物で、すべての解体業者が知っておくべき重要なルールです。
この記事では、建設・不動産業界の現場でも誤解されやすいこの制度について、事例を交えてわかりやすく解説します。
■ 解体工事業の登録って何?
「解体工事業の登録」とは、建設業法の改正によって新たに設けられた制度で、建設業許可を持たない業者が解体工事を行うために必要な登録です。
● 制度の背景
- 解体工事に特化した専門業者が増加
- 建材にアスベスト等の有害物質が含まれている場合のリスク
- 周辺環境・安全対策の必要性の高まり
これらに対応するため、2016年に建設業法が改正され、「解体工事業」が独立した業種として新設されました。
■ 誰が登録しないといけないの?
次の2つのうちどちらかに該当する場合、解体工事業の登録または許可が必要です。
- 建設業許可(解体工事業)を取得していない業者 → 登録が必要
- 解体工事業の建設業許可を持っている業者 → 登録は不要。建設業許可が優先
つまり、解体工事を業として行うには、「建設業許可(解体工事業)」または「解体工事業の登録」のいずれかが必須なのです。
■ よくある誤解と危険な勘違い
→ かつてはそうでしたが、今はNGです!
法改正後は「解体工事業」の許可または登録がなければ、解体工事は行えません。
→ たとえ軽微な工事であっても、反復継続して請け負う業者は登録が必要です。
■ 登録の手続き方法は?
登録は都道府県単位で行います。以下は東京都を例とした一般的な流れです。
- 必要書類を準備
- 登録申請書
- 住民票、登記簿謄本、定款
- 経営業務の管理責任者の証明
- 技術管理者の証明(一定の資格・経験が必要)
- 都道府県に申請
→ 申請先は、事業所の所在地を管轄する都道府県庁です。
※自治体によっては支庁などでも受付 - 審査・登録
→ 不備がなければ、1~2か月ほどで登録完了。登録証が交付されます。
■ 技術管理者って誰?
登録には、技術管理者の設置が義務付けられています。
この人物は、解体工事に関する一定の資格または経験を持つ人でなければなりません。
例:
- 1級・2級建築施工管理技士(仕上げ含む)
- とび技能士(1級)
- 3年以上の実務経験 など
■ 登録しないとどうなるの?
無登録で解体工事を行うと、違法業者として処分の対象になります。
● 想定される罰則
- 6か月以下の懲役または100万円以下の罰金
- 工事中止命令
- 官公庁からの指名停止(入札資格喪失)
しかも、元請業者側も監督責任を問われることがあります。
■ 【実例】無登録で解体して行政指導!D社の失敗
千葉県のD社は、木造住宅の解体工事を年間20件以上請け負っていたにもかかわらず、建設業許可も登録もなし。
「昔からやってるし、ばれないだろう」と軽く考えていたところ、近隣住民の通報から行政の立ち入り調査が入り、無登録営業が発覚。
結果、D社は営業停止命令を受け、信用失墜。公共工事からも外されてしまいました。
建築業許可の違いは?
項目 | 解体工事業の登録 | 建設業許可(解体工事) |
---|---|---|
工事金額の制限 | 500万円未満まで | 制限なし |
登録先 | 各都道府県 | 都道府県または国土交通省 |
技術要件 | 技術管理者が必要 | 専任技術者が必要 |
更新 | 5年ごと | 5年ごと |
■ 登録で済むか、許可を取るべきか?
- 500万円未満の小規模解体しかやらない → 登録
- それ以上の規模の解体工事も請けたい → 建設業許可(解体工事業)取得
事業の方向性によって、どちらを選ぶべきか判断しましょう。
■ 最後に:無登録のままでは信用も仕事も失う
解体工事は、建物を壊すだけでなく、周囲の安全・環境・法令順守が求められる高度な専門業務です。
その信頼の証が、「登録」あるいは「建設業許可」なのです。
「昔はOKだった」
「知り合いは登録なしでもやってる」
そんな曖昧な情報に流されず、正しい手続きを踏んで、安全で堂々と仕事をしましょう。