【多摩地域版】不動産を子どもに渡すなら「相続」と「贈与」どっちが得?

    ― 調布・府中・稲城の方が今知っておくべき“本当に得する不動産の渡し方” ―

    不動産をお持ちの親御さんで、「そろそろ子どもに家を渡したいけど、相続と贈与ってどっちがお得なの?」という相談は、多摩地域でも非常に多く寄せられます。
    特に、調布市・府中市・稲城市は住宅地が多く、土地の評価もそこそこ高いため、相続税が気になってくるエリアでもあります。
    この記事では、
    「結局どっちが得なのか?」
    を、税金・特例・地域事情も踏まえて、専門家目線でやさしく解説します。

    ◆ 結論:ほとんどのケースで“相続の方が得”

    いきなり結論ですが、
    多くのご家庭では「相続の方が圧倒的に有利」です。

    理由はシンプルで、

    • 相続税の方が贈与税より税率が低い
    • 相続には「基礎控除」が大きく効く
    • 多摩地域では小規模宅地等の特例が適用できるケースが多い
    • 相続時の土地評価(路線価)は、実勢価格より低く出やすい

    つまり、同じ不動産でも評価額が「贈与時>相続時」になることがほとんどなのです。

    ◆ 多摩地域で相続が“特に”有利な理由

    調布・府中・稲城周辺は路線価が実勢価格より低い傾向があり、
    「相続時の評価が下がる=相続税が抑えられる」
    という構造になっています。

    たとえば、

    • 調布市国領の平均的な住宅地
    • 府中市白糸台の住宅地
    • 稲城市向陽台の戸建エリア

    こういった地域では実勢3,000万円の土地が、相続評価では2,000万~2,400万円程度に収まることが珍しくありません。
    さらに自宅の場合、「小規模宅地等の特例」で最大80%減額も可能。
    2,000万円の評価が400万円扱いになるわけです。

    ◆ 相続で不動産を渡すメリット・デメリット

    ▼【メリット1】税金がとにかく安い

    基礎控除:3,000万円+600万円×法定相続人
    があるので、多摩地域の一般家庭なら相続税が発生しないことも多いです。

    ▼【メリット2】小規模宅地等の特例が強力

    自宅なら80%減額
    賃貸併用住宅でも50%減額が可能。
    たとえば評価3,000万円の土地を子どもが相続すると、
    → 相続税評価は600万円に。
    贈与では絶対に使えない最強の制度です。

    ▼【メリット3】登録免許税・不動産取得税が安い

    • 登録免許税:0.4%(贈与は2%)
    • 不動産取得税:相続は非課税(贈与は3%)

    税金だけ見ても、相続が圧勝。

    ▼【デメリット】遺産分割で揉める可能性

    不動産は分けにくいので、兄弟がいる場合は注意。
    調布や府中のように、戸建て+預金少々という資産構造は“揉めやすい典型パターン”です。

    ◆ 贈与で不動産を渡すメリット・デメリット

    「贈与=悪」というわけではありません。
    目的次第では贈与が必要なケースもあります。

    ▼【メリット1】生前に名義を確定できる

    相続争いを避けたい場合に有効。
    「誰に渡すか」を、親がハッキリさせられます。

    ▼【メリット2】相続税の将来負担を抑えられる

    財産が多い家庭では、生前贈与が実質的な節税になることもあります。

    ▼【メリット3】価値が上がる土地なら“早く渡す”方が得

    駅前再開発予定の土地などは、評価が上がる前に贈与するのも戦略。
    調布駅周辺のマンション用地などがわかりやすい例ですね。

    ▼【デメリット1】贈与税が高すぎる

    贈与税の税率は最大55%
    相続税より圧倒的に重い。
    評価3,000万円の土地を子へ贈与すると、
    → 数百万円の贈与税が発生。

    ▼【デメリット2】評価額が相続より高くなりやすい

    贈与は「固定資産税評価額」が基本。
    路線価より高く出ることが多いので損しやすいです。

    ▼【デメリット3】登録免許税・不動産取得税も高い

    • 登録免許税:2%
    • 不動産取得税:3%

    諸費用だけでも数十万円は確実に発生します。

    ◆ どちらが“本当に得か”数字で比較

    (例)「調布市内の評価3,000万円の土地(自宅)」を子へ渡す場合

    ▼ 相続の場合

    • 基礎控除の範囲 → 税金ゼロ
    • 小規模宅地等の特例 → 評価額600万円に減額
    • 登録免許税:0.4%
    • 不動産取得税:非課税

    → 合計ほぼゼロ~数万円レベル

    ▼ 贈与の場合

    • 贈与税:約400~500万円
    • 登録免許税:2%(3,000万なら60万円)
    • 不動産取得税:3%(90万円)

    → 合計 約550~650万円前後

    差は歴然。
    この数字を見れば、相続の方が「得」なのは一目瞭然です。

    ◆ では、贈与が得になるケースは?

    実は少数ですが、次のようなケースでは“贈与が正解”になることがあります。

    • (1)将来相続税が高額確実な資産家
    • (2)土地の価値が急騰する見込みがある
    • (3)名義を早く子へ移したい事情がある
    • (4)配偶者への贈与

    ◆ 多摩地域で実際に多い相談パターン

    行政書士として感じる「リアルな傾向」です。

    • ● 調布市:自宅+預金少しのシンプル資産 → 小規模宅地が効いて相続がほぼゼロ
    • ● 府中市:土地評価が高い地域がある → 将来相続税が発生する可能性あり → 生前贈与の併用が有効な家庭も
    • ● 稲城市:土地が広いケースが多い → 自宅部分の特例が使えるため、相続が最も有利 → 賃貸併用住宅の場合は特例の組み合わせがポイント

    ◆ 【まとめ】ほとんどの家庭は「相続」が得。ただし例外あり。

    多摩地域(調布・府中・稲城など)で不動産を持つ家庭は、
    9割以上のケースで“相続で渡す方が得”です。

    • 税率が低い
    • 基礎控除が大きい
    • 評価額が下がる
    • 強力な特例が使える

    しかし、

    • 「将来の相続税が重くなりそう」
    • 「早く名義を変えたい理由がある」

    といった家庭では、贈与を検討する価値が十分あります。